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ニコラ・アンドリ
リヨンの整形外科医ニコラ・アンドリ(
Nicolas Andry、1658〜1742)も寄生虫の有名な権威で、当時は「虫がたかっている人」(
Homo vermiculosus)と呼ばれていた。彼の『人体における虫の発生論』(
Traite de la generation des vers dans le corps de l'homme)は3版を重ねたが、ここでは、身体の部位によって14種に分類されている(脳虫、肺虫、肝虫、脾虫、心虫、心房虫、血虫、膀胱虫、潰瘍喰虫、皮虫、臍虫、性虫、食道虫、精虫)。肺寄生虫を除いて実際は想像上の虫である。
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アンドリが国会の弁護士デ・ラ・ソレイ氏からもらったサナダムシ
ニコラ・アンドリ『単性の虫及びその他の諸種類』パリ1718年。(Nicolas Andry: Vers solitaires et autres de diverses especes. Paris 1718.) |
ピヨテル・シモン・パラス
ピヨテル・シモン・パラス(Pyotr Simon Pallas、1741〜1811)はユーラシア・ロシアの研究家として著名だが、その博士論文(De infestis viventibus intra viventia, Leiden 1760)には当時知られていたすべての体内寄生虫がまとめられている。図版はかなり良質だが、病因学に関する考え方は空想に満ちたものであった。
オト・フリードリッヒ・ミュラー
しかしこの世紀には確かな進歩も見られる。フィラリア系の線虫が発見され、四肢や陰嚢のフィラリア象皮病に触れた記述もある。ただし象皮病が寄生虫によるものだということは知られていなかった。デンマーク人自然研究者ミュラー(Otto Friedrich Mueller、1730〜84)は、ある種の魚の寄生虫は魚の体内では幼虫のままであるが、その魚を食べた鳥の体内で成長することを示して、寄生虫学に「生活環」と「中間宿主」の概念を取り入れた。
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シラミ
(J.ショイヒツァ『聖なる自然学』1732年)
Johann Scheuchzer: Physica sacra. 1732. |
19世紀から寄生虫学は大きな進歩を遂げ近代的な学問となった。