WALKS IN CYBERSPACE (2) - CollegeR@dio. BRUNNEN No. 386, pp. 5-6, Ikubundo, Tokyo, Juli 1997


ヴォルフガング・ミヒェル

サイバー空間の散歩(2) - CollegeR@dio


授業にWWWを取り入れる場合、遅かれ早かれ技術的な壁にぶつかることが予想される。学内のサーバーの性能や、利用者が増えつつあるインターネット上の情報の流れ具合や、遠くヨーロッパにあるホストの性能や利用状況によっては、数十人の学生が同時にあるホームページを見ようとする場合、予定通りに入れなくなり、途中で授業計画を変更せざるを得なくなることがある。利用者の爆発的な増加により、世界中の情報の流れが至るところで滞ってしまうことも多くなった。

このような問題を回避する方法のひとつは、ドイツ語圏のホームページの調査を学生の宿題にすることである。しかしこれには学内のコンピュータの自由な利用が前提となるし、また、学生もインターネットの至る所に待ち受けている誘惑に惑わされず、所期の目的に向けて全神経を集中しなければならない。日本が午後になったときにはドイツでは朝を迎えるわけだから、運悪く膠着状態になることも忘れてはならない。

また、もう一つの方法として、教師が前もって向こうのデータをコピーし、インターネットの状態に関係なく授業で使えるようにすることも考えられる。ドイツの学校教育におけるこのような利用をも想定して、Bayerischer Rundfunkが設立したCollegeR@adioは「Bestes GMD-Projekt 1996」を受賞し、その内容も着々と充実してきている(URLはhttp://br.gmd.de/college/)。 メイン・メニューには「Audiothek」(「学校放送のテーマと内容」)や、「Surfbrett」(「バイエルンの全学校のためのネット上の仮想故郷」)、「Campus」(「学校関係の約700のリンク」)、「Forum」(「ゲスト・ブック「主なEメール・アドレス」)等がある。

Audiothekを開くとDeutsch, Heimat / Sachkunde, Geschichte, Ethik / Umwelt, Literaturのバトンが画面に現れる。それぞれの科目のページには、利用できる番組のテーマ、そのテキストへのリンク、音声のリアルタイム再生スタートバトンや再生に必要な時間、また音声ファイルの容量、PCへのダウンロード・スタートバトンや、何年生のどの科目を対象にしているかなどが示されている。これらをインターネット上で直接再生することも可能だが、先に述べたように、ドイツから日本に届くまでに、データの流れが滞ることがあるので、それよりも番組をダウンロードして、そのファイルのコピーを学生に提供したほうがよい。この場合、コンピュータはインターネットには繋がっていないので、音声を好きな時に止めたり、再生したりすることが可能となる。教育目標や学生のドイツ語力によっては、音声にそのテキストを付け加える必要もある。また、図やグラフを用いれば、学習者の理解はさらに深まる。

リアルタイムで音声を再生するのに必要なソフトウエアは米Xing Tech.社のStreamWorksであり、ダウンロード・ページを通じて無料で入手できる(PowerPC Mac, Win3.x/Win95, SGI Irix, Linux, SUN Solaris用)。コンピュータへのインストールは容易で時間もかからない。音声ファイルをダウンロードし自分のPCに保存してから聞くのであれば、通常のSoftPEG-Playerなどのオディオソフトで十分である。

本文をコピーするにはWWWブラウザのコマンドsave asを用いる。保存形式としては「text」ではなく「source」を用いることで、後にWWWブラウザ上で「open file」コマンドを用いて、このテキストをネット上と同じ形式で利用することができる。ウエッブページに現れる図は一つずつ保存する必要がある。そのために、カーソルを図の上に移してウインドウが現れるまでマウスをしばらくプレスしておき、そこで該当のコピーコマンドを選べばよい。図や絵を、ソースファイルと図を同じフォルダーに入れるのが一番管理しやすい。ここで保存した図の名前と保存先は、保存したソースファイルに載っているリンクと一致させなければならない。

このような作業は手間がかかるので、テキストとイラストだけではなく、レベルの設定によりそのテキストに含まれているリンク先のページなどまで、あるWWWサイトを丸ごとにコピーできるソフト(whacker, recorder)が開発された。その内容及び入手方法については次のホームページのどれかを参照すればよい。

http://www.bug.co.jp/nami-nori/
http://www.threeweb.ad.jp/~takasato/
http://www.ffg.com/whacker/
http://plaza4.mbn.or.jp/~rah/vegas.html
http://www.aisoft.co.jp/aisoft/japanese/products/webwhack/webwhack.htm
http://www.xaxon-net.or.jp/netrecorder/

上記のソフトを利用してCollegeR@dioのある番組のテキスト及びその参考資料をPCにコピーしておけば、NetscapeなどのWWWブラウザを使いながらその資料をインターネットに縛られずに閲覧できる。ディスク上に余裕があれば、CollegeR@dio全体の保存も考えられる。 CollegeR@dioは教材の提供者としてだけでなく、バイエルン州の学校教育をうかがえるサイトとしても興味深いものである。

 

 

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