西洋人の日本観 II − シーボルトの図書コレクションより
The Western Gaze at Japan - From Philipp Franz von Siebold's Book Collection

奈良県立図書情報館、 2008年3月〜3月30日

エンゲルベルト・ケンペル『日本誌』(1777~1778年刊)より


○ 江戸城で踊りを披露するケンペル
オランダ商館長のいわゆる江戸参府に2回随行したケンペルは江戸城での出来事を詳細に紹介している。カピタン(商館長)の正式の拝謁が終わってから、彼らは江戸城の白書院へ案内され、好奇心の強い5代将軍綱吉から様々な説明やデモンストレーションを求められた。ケンペルは、「猿回し」や「茶番劇」という厳しい言葉を使う一方で、日本の「皇帝」と接触できたことを誇りにも思っていた。
百科全書派などは『日本誌』の中で描写された自然、社会、歴史などの記述を利用し、とりわけ作家たちはこの「謁見」に着目し、あらゆる作品に取り込んでいる。綱吉以外の将軍はこのような交流を一度も望んでいなかったにもかかわらず、あまりに印象的なこの場面はヨーロッパの日本観の一部になった。1824年、江戸城に上がったシーボルトは、踊らなければならないとの覚悟だったが、「幸いにケンペルが報告した踊りはこの頃廃止された」と『日本』で説明している。
Kaempfer im Schloss zu Edo

 

 
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